1984年 富士通株式会社入社、97年 株式会社富士通総研へ出向。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 1年を振り返ってみると、融資や相続など、今まで関わらなかったようなことに関わることができたり、見たことのない大金を目の前にして自分の金銭感覚が狂いそうになることもあった。, これから銀行や信用金庫で働く方は、果たしてどんな仕事をするのか、期待と不安が混ざっているのではないだろうか。, ここでは1年間金融機関に勤めた私が、銀行や信用金庫に就職して1年目はどんな仕事をするのかをできる限りありのままに伝えたい。, 入社式の翌日から、周りに何もない僻地に送り込まれ、1週間ほどの宿泊研修が行われた。, 金融機関で働く上での心構えから、銀行の3大業務である『預金』『融資』『為替』とはどんなものかを教えられる。, 一気に義務教育に戻ったような、あるいは軍隊に入ってしまったような感覚を味わうこととなる。, 宿泊研修最終日には、札勘大会という、模擬紙幣100枚をいかに早く、正確に数えられるかを競うものがあった。, ここではビジネスマナー、電話対応といった社会人としての基礎や、預金、融資で扱う伝票の起票の練習、支店で行われるオペレーションのような実務などを広く浅く学ぶ。, 私が勤めた会社では1年目にジョブローテーションが取り入れられており、一定のスパンで「預金」「為替」「融資」と移っていくこととなる。, 私の会社では預金として出納、為替、後方のオペレーション、そして窓口と担当が分けられていた。, もし一円玉をどこかに落としていて合わないということがあれば、探し出さなければならない。, 「銀行は一円でも合わなければ帰れない」というのが昔から言い伝えられているはこのことであり、それは今でもありうることである。, このような資金の移動を伴う取引をオペレーションによって処理するのが主な業務である。, 例えば会社の経営者や経理の方が、従業員へ給与を振り込む際や、ローン関係の融資したお金を振込先に振り込む際に為替担当が処理をしている。, オペレーションにおいて、振込先を間違えてしまったり、金額を間違えてしまったりすると大きな問題になるため、責任は大きいといえよう。, 入出金から口座開設、定期預金の新規申し込み、解約、税金関係、さらには住所の変更や死亡の設定など、様々なオペレーションがある。, 業後の勘定が合わない時、後方でのオペレーションに間違いや、そもそもオペレーションを1件やり忘れていたということが多い。, 少額の入出金のような、すぐに処理できるものは窓口でオペレーションをしてしまうこともあるが、基本的には窓口で受け付けて後方担当に処理を取り次ぐ形である。, もし大口の金額を下ろしたり、振り込むと言った依頼があれば、役席者が対応することもあり、時間がかかることが多い。, 今は振り込め詐欺などの対策として、本人確認や、大金を振り込む目的などにおいて非常に厳しく対応している。, 手続きが年々面倒になってきており、時間もかかることからクレームを受けることもままある。, ジョブローテーションの流れで、私は預金を半年経験したのち、融資を担当することとなった。, 私の会社では基本的にパートの方がやっているのだけれども、「もしそのパートの方が不在の時にできた方が良い」ということがあったり、「融資実行までの流れを掴むために」ということもあり、短期間であるが担当した。, 融資の社員はほとんどオペレーションができないため、受け付けた案件や、営業が取ってきた案件の実行までのオペレーションと、それに伴う雑務を行った。, 昔に住宅ローンを組んだお客様が住宅ローンを完済すると、契約時に設定していた抵当権を抹消する手続きを始める。, お客様に委任状を書いてもらい、司法書士に抵当権の抹消を依頼し、登記が完了したら最後にお客様から登記費用を請求する流れだ。, さらには会社で厳重に保管している業務権限を司法書士に委託する書類、金融機関から司法書士に抵当権の抹消を依頼するための委任状。, もし紛失してしまうと、様々なことに悪用が可能であるため、これらの書類の取り扱いが厳しく、何の利益にもならない作業であるにもかかわらず、特に注意して取り組まなければならない。, 加えて昔の契約書類を本部から取り寄せるための処理など、収益はほとんどないにもかかわらず、思いのほか手間がかかる作業である。, 2ヶ月ほど事務作業を学び、その後は自動車ローンや教育ローン、住宅ローンやカードローンなど、消費者(個人)ローンの受付を担当するようになった。, やることは、来店したお客様に仮申込書を書いてもらい、それをもとに保証会社に審査を依頼すること。, そして審査が可決になったら、お客様に本申込にきてもらい、申込書の記入、重要事項の説明などをして契約のための印鑑を押してもらうこと。, 今ではわざわざ来店しなくとも出来ることなのであるが、それでも来店する客がそれなりにいるのが事実である。, 高齢者のようなネットに対する理解が皆無の方や、頭が悪く、時代の変化が汲み取れていないような若者などが来店して紙による手続きをしたがる。, 各種消費者ローンの受付をすることで、初めて本格的に接客というものをするようになった。, 事業性融資と言っても、いきなり決算書を見てお客様と話し合ったり、上司や支店長と協議を進めていくことは難しい。, 最初は長い付き合いの得意先のお客様が頻繁に持ってくる手形を受け付け、『手形割引』の融資に取り組むようになった。, 稟議書というのは、簡単に言うと、『この会社の経営状況は〜、売上は○○千円で、返済見込があります。○○万円の融資に取り組んで良いと思います。』といった意見を書き、上司から支店長までの意見を求めていく書類だ。, 『手形銘柄○○は東証一部上場であり、落込は良好。店長決済極度内取組であり、これを応需致したく。』みたいな感じ。, 確かにいくつかの業務を担当させてもらい、勉強になることもあるのだが、それ以上に無駄な作業が呆れるほど多いのが銀行の1年目である。, 何の利益にもならない、勉強にもならない雑用が次々と舞い込んできて、それらに忙殺される日々が続くだろう。, (就活生に知ってほしい、銀行の前時代ツール、固定電話。)〜新入社員は電話交換手と同じ仕事を強いられる。〜, 1年目とはいえ仕事を抱えているにもかかわらず、何度も電話を取ることによって、まともに仕事が進まない。, 時には電話を取ったことでそれまで何の作業をしていたのかを忘れたり、重要な書類を見失ってしまったりすることもある。, 法人から電話がかかってきて、担当の人に取り次ぐ作業を何度もやっているのも確かに無駄なのだが、それ以上に個人のお客様からの電話がとにかく面倒くさい。, 個人のお客様は基本的に言うべきことを整理しておらず、話が長く、結局何が言いたいのかわからないのだ。, 他には「手数料はいくらか」「銀行は何時までやっているのか」「振込ができているのか確認してくれ」「残高はいくらか」など、少し自分で調べたり、確認すればわかるようなことばかり。, こんなことにこちらの時間を奪われる毎日を過ごしていると、ストレスがたまるのも無理はない。, なんとも無意味なこの仕事を経験してみて、昭和からこの辺りのシステムはほとんど変わっていないのだろうとつくづく感じる。, 市役所に口座振替関係の書類を持って行ったり、何ヶ月も借りたお金を延滞し、どこかへ引っ越してしまったお客様を探すために、住民票を取りに行くことが頻繁にある。, これらのお出かけが場合によっては遠方の地方の市役所、町役場まで行かなくてはならない。, 特に忙しくなければドライブ感覚で行けるのだが、忙しい時期に頼まれると全く仕事が進まなくなる。, 先ほど述べた、市役所に住民票を取りに行くことでお客様の所在を把握し、電話や手紙などで応答がない場合、直接家を訪問し、督促をする。, 場合によってはたった1件のために何時間もかかるような場所まで行かなくてはならない。, 約定返済額は大して大きくないが、その返済金額を振り込んでもらうために何時間もかけなければならない非常に非効率な手段である。, 銀行、信用金庫など金融機関は、雪が降ろうが、電車が止まろうが、這ってでも出社を求められます。, 鍵も自分の判断で開閉することは許されない。役席者の指示でやらなければならないのだ。, そして開けた時間、閉めた時間を使用簿に記入したり、ただの鍵の開閉なのに、何かと面倒な作業が多い。, 都心の支店や本部であれば、エレベーターがあるかと思うが、地方の支店には階段しかない。, 銀行で扱う書類は何年も保管しているのだが、古くなった書類をまとめて上の階の倉庫へと運ぶことがある。, 大量の書類があり、とんでもない重さと量の書類を何往復も運搬するという重労働を強いられる。, 大してゴミがなくてもわざわざ早い電車に乗って、掃除をしているふりをしていなければならない。, 退社する前には仕事を途中で切り上げて、机の上はきれいに片付け、キャビネットは全て金庫室にしまい、いくつもある鍵を全て閉めなければならない。, 中には役席者の許可をもらわないと取れない鍵もあり、それだけのためにコミュニケーションをとらなければならないのが非常に面倒。, 銀行で用いるあらかんとは、財務分析システムのことであり、取引先の決算書のデータを登録し、取引先がどんな会社か、どんな財務状況かなどを把握して、融資審査に役立てようするシステムのことである。, 取引先から決算書の原本を預かり、こちらで全てコピーをし、あらかんに業種や従業員数、貸借対照表や損益決算書などのデータを登録するのだ。, 1年目の私は、営業が預かってきた決算書をコピーし、あらかん登録するという仕事をよくやっている。, 調査する基準としては、『勝手に増改築されていないか』『違法物件ではないか』『建築基準法に違反していないか』などである。, これも場合によっては遠方の地方まで行かなければならないことがあり、こちらも収益を生まないどころか、ガソリン代がかかる雑用である。, 銀行で若いうちに得られる知識として、決算書を読む力、不動産、税金、相続、保険など、確かに学べることはある。, しかし、それ以上にミスしてはならない細かすぎる事務処理を覚える時間、取り組む時間、そして雑務をやらされる時間が圧倒的に多い。, 銀行は変化を嫌う体質から、今の時代の変化について行けておらず、完全に遅れをとっている。, テクノロジー的には自動化やペーパーレス化が可能なことも、いつまでも人の手や紙ベースで行われているため、時にはミスや不備も起こる。, 印鑑の押し忘れで何度もお客様に来てもらったり、それだけのためにこちらからお客様の元へ向かったりする。, そして、学べると思っていた金融知識よりも、驚くほど細かい事務処理を先に学ばなければならず、しばらくは一生懸命働いたところで、会社から一歩出ると、何も役に立たない知識しか覚えていないのだ。, 銀行に入る方はこれから1年、だいたい今回の記事であげたようなことをやらされる羽目になることを知っていた方が良い。, いかに銀行が時代に遅れているかや、細かすぎる処理、雑用の多さにイライラする時は必ず来るかと思う。, 最近ではメガバンクが大量リストラ策を打ち出しているが、根本的には変わろうとしないのが銀行。, 個人的な予想ですが、ほとんどの銀行、信用金庫は、この先5年でかなり状況が変わってくるのではないかと思っております。, これから金融機関で働く方は入社してからギャップに悩まないためにも、銀行は根本的にビジネスモデルや社風が、時代に合っていないということを認識しておこう。, (金融機関や司法書士などは、相応の理由があれば、他人の住民票を取得することができます。よって借り逃げは難しいです。), 来店したお客様に仮申込書を書いてもらい、それをもとに保証会社に審査を依頼すること。, 「手数料はいくらか」「銀行は何時までやっているのか」「振込ができているのか確認してくれ」「残高はいくらか」, 市役所に住民票を取りに行くことでお客様の所在を把握し、電話や手紙などで応答がない場合、直接家を訪問し、, ほとんどの銀行、信用金庫は、この先5年でかなり状況が変わってくるのではないかと思っております。, スイング寄りデイへ転換。デイトレ初心者の無職ニートが1ヶ月デイトレードを続けてみた結果(18〜24日目). 入社してから約1ヶ月ほど、人事部のもとで研修を受ける。 私の会社で最初にあったのは宿泊研修。 入社式の翌日から、周りに何もない僻地に送り込まれ、1週間ほどの研修が行われた。 宿泊研修では、主に座学。 金融機関で働く上での心構えから、銀行の3大業務である『預金』『融資』『為替』とはどんなものかを教えられる。 座学に加えて、私の会社では朝に朝礼、ラジオ体操があった。 朝礼では人事の監視のもと、社訓を … 株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアマネジングコンサルタント Reserved. 'http' : 'https'; 銀行に入る方はこれから1年、だいたい今回の記事であげたようなことをやらされる羽目になることを知っていた方が良い。 いかに銀行が時代に遅れているかや、細かすぎる処理、雑用の多さにイライラする時は必ず来るかと思う。 最後に (もちろん、フロント部門でも別の意味で容易ではないが…), 就活生からすると、初年度年収が800万円というとかなり魅力的に聞こえるかも知れないが、社会人になると大した金額では無いので(メガバンクでも20代後半になると誰でもそれ位には到達する)、あまり目先ばかりを見ない方が良い。, もちろん、MDまで到達できれば、年収は4000~5000万円になるが、それは本当に一握りに過ぎない。, 結局、オペレーションの場合、年収については国内系大手金融機関や総合商社と比較すると若干多い水準であるが、フロント部門と比べると半分程度に過ぎず、世間一般で想像されているような外銀の華やかな生活を送ることは難しい。, 外銀オペレーションというのは、潰しが利く職種ではない。 ご利用中の皆様にはご迷惑をおかけしまして申し訳ございません。現在復旧に向けて対応中でございます。 fjs.parentNode.insertBefore(js, fjs); 金融機関向け事務量・営業店構想策定・営業店改革・事務集中センター効率化・事務処理方式開発などに従事。, Copyright 1995 - 2020 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE, 「個別業務対応型アプローチ」では、各行から出された施策の効果の積み上げ予測を行い、取り組むべき施策を明らかにしました。, 「組織業務変革型アプローチ」では、中長期展望に基づいた経営戦略レベルによるコスト構造改革を行うための、新営業店体制について各行(旧大和銀行様、旧あさひ銀行様、埼玉りそな銀行様)の案をまとめました。富士通総研としても、「戦略的新営業店体制(仮説)に伴う事務運営コスト削減施策の方向性」と題して最終報告の中で提案しました。ここでの主要事務施策案は、 (a)営業と事務の分離、 (b)担い手の転換、(c)事務センターの再編成、 (d)専門性の強化です。, 「全業務対応型アプローチ」では、事務運営コストの概観・構造を管理会計の視点で明らかにしました。この結果、営業店で処理をしている事務件数は、全体の5.7%で、. まず、簡単に前回の「事務運営コスト削減PT」の成果を確認しますと、主に3つのアプローチで検討を行いました。 1. 最近は昔よりもずいぶんとオペレーション部門に関する情報も日本語で入手可能になりました。 私が当時欧州系投資銀行に勤めていた頃は、採用面接の最中も結局オペレーション部門が担当する具体的な業務内容がわからなかったです。 私が当時欧州系投資銀行に勤めていた頃は、採用面接の最中も結局オペレーション部門が担当する具体的な業務内容がわからなかったです。(笑) 新卒採用のリクルーティング活動にも何度か携わらせて頂いたのですが、学生で外資系金融のオペレーション部門が具体的にどういった業務を行って ©Copyright2020 Global Career Bank.All Rights Reserved. 部と混同されることがありますが、(金融機関によって事情はちがうかもしれませんが)オペレーション部門は似て非なるものです。私が所属していた金融機関でも、総務部、人事部、経理, ・・といった具合に、それぞれに証券決済プロセスが存在し、その数だけ金融機関内で担当チームが存在することになります(チームの大部分はシンガポールオフィスやロンドンオフィスが担当しているなんてことも最近はざらですが)。, を相手方におくったり、相手方からうけとった際に、その等価となるお金を授受します。また、単純にお金を相手先から受けたり、逆に送ったりします(日本円だけでなく、当然外貨も取扱います)。, 中島真志氏、宿輪純一氏の「決済システムのすべて」を詳細はご参照ください。こちらもオペレーション部門勤務者のバイブルですので、オペレーション部門でのキャリア構築を考えている方は必読です。, そうした担保有価証券の管理を担当します。つまり、担保品の時価(*XX日時点で、この有価証券という, は一体いくらの価値が市場であるのかを示す金額)が、担保として必要な金額分を満たしているかどうかを日々モニタリングし、足りない場合には顧客へ追加担保を請求したりします。, 一目瞭然じゃん」と思うかもしれませんが、金融機関独自のシステムや子会社が時価情報を管理・提供していたり、そもそもBloomberg端末, で時価情報がない有価証券(例えば私募債は発行数が極端に少ないため、その有価証券の価格を形成するマーケットが存在しない。よってBloomberg端末, 課題となっていますので、オンボーディングプロセスの重要性は増しています。こうした顧客情報の確認プロセスを, 口座開設というと物理的に通帳(ブック)を作るというイメージが大きいと思いますが、金融機関視点からみるとその新規顧客に行内ユニーク, していると、毎月・四半期・又は年1回送られてくるレポート(残高報告とか、取引報告とか、配当金のお知らせとか、まあ色々な種類があります)を管轄するチームです。私も担当していましたが意外と大変で地味です。笑, 新規制を策定・通達したりは金融庁等の規制当局が行うのですが、いづれにせそれらを現場に落とし込み日々遂行するのはオペレーション部が担当するからです。, プロジェクトマネジメントはオペレーション部門勤務の醍醐味でもあり、オペレーション部が単なる事務屋さんではないこと(フロントの方の中にはオペレーション部門, バックオフィスを単なる事務屋さんであると認識し下に見る方も少なくないのですが・・)の一つの証左かと思っています。, 実は、オペレーション部門はプロマネスキルを身に着けるにはうってつけの職種です。何故なら、金融では「失敗」は許されないので、プロジェクトの難易度が全般的に高いく、それを英語を駆使し海外オフィスの意思決定者やステークホルダー, オペレーション部門はそのイメージ(事務屋さん)に反して、高い専門性の構築がマストで遣り甲斐のある非常に面白いキャリアだと思っています. }(document, 'script', 'twitter-wjs'); Copyright © 2010-2020 Howtelevision,Inc. 富士通総研では次世代の銀行店舗のあり方の検討から店舗企画、店舗運営支援まで、実績に基づいた幅広いご支援をしております。, 【金融】 富士通総研では次世代の銀行店舗のあり方の検討から店舗企画、店舗運営支援まで、実績に基づいた幅広いご支援をしております。, 【金融】 } 前回は、次世代営業店と営業店改革の推進を支える仕組みについてご紹介しました。今回は、新業務に適合するシステムの企画とシステム開発へとつなげていく経緯についてご紹介します。, 営業店の見た目が大きく変わったクイックナビの仕組みは、実は、システム開発は行わずに実現したものでした。公的資金が注入された段階で、システム開発はすべて凍結され、大規模案件である旧大和銀行様・旧あさひ銀行様のシステム統合はもちろんのこと、検討中の事務量(*)システムのような小規模案件でさえ、一切の開発が認められませんでした。, そこで、システム開発を行わずに、新たな事務処理方式を実現する仕組みの検討に入りました。その際、参考としたのが、合併前にあさひ銀行様で取り組まれた八王子のインストアブランチでの取り次ぎ方式でした。これを参考に、主に、「ペーパーレス」(「書かせない」)と「キャッシュ(ハンドリング)レス」の実現を目的に、お客様にATMの操作と現金の取り扱いを行っていただき、社員は必要に応じて営業店端末の操作やお客様のサポートを行う方法を考えました。これをクイックナビとしてATMと営業店窓口端末を隣接して設置し、銀行内部用の口座に使える振り込みカードを用意しただけで実現しました。表面的には大きな変化だったにもかかわらず、システム変更がなかったため、クイックナビ担当の社員の方にとっては、システム操作に関わる負荷はほとんどなく、むしろ、クイックナビ導入の意義の理解や、お客様に操作していただくという事務フローの変化、お客様への対応の準備が重要となりました。, 次世代営業店へと展開している最中に、本部では、システム開発凍結解除に備えて新たな営業店システムの開発を検討していました。, 次期システムでは、まず、営業店事務を本来どうしたいのかという、「ありたい業務」を明らかにし、次に、その「ありたい業務」を実現させるために必要なシステムの要件を整理するという流れで検討を行いました。, ごく当然の流れと思われるかもしれませんが、すでに長く持続させてきた従来システムへの影響や改修のためのコストを考えると、現状のシステムにとらわれずに検討することは、頭で理解するほど簡単なことではありません。ご担当の方々は多くの苦労をなさいました。, ありたい業務の姿を明らかにするために、まず実施していただくことは、マクロフローの作成です。, マクロフローの作成は、業務の大きな流れを確認することと、現在と新プロセスの比較を一見して分るようにするという目的があります。そこで、ペーパーレスを狙う業務改革であれば、紙の発生や回付、保管の状況がAs-Is(現況)とTo-Be(ありたい姿)でどのように変わるかが一目で分かるようにする工夫が必要です。そうした工夫をした上で、両者のマクロ業務フローに、ほとんど違いが生じない場合は、一般的には、業務改革というよりも、業務改善のレベルであり、大きな効果が期待できないことが予想されます。フローの大きな違いとは、例えば、現況ではあった作業(フロー上では、四角で囲んで表示)がなくなる、あるいは担い手が変わる(フロー上では、四角で囲んだ作業が置かれる場所が変わる)、あるいは、方法がシステムに置き換わるといった違いです。マクロフローで業務のあり方の方向性を検討し、方針を確定すると、次に詳細事務フローの作成を行います。, 詳細事務フローの作成でも、現況とありたい姿の両方を書きます。現況は、現在のことなので、難なく書けるかと思うと、これも意外と簡単ではありません。企画部門の方は、往々にして、事務の詳細までは分からないものです。検討メンバーに事務部門の経験豊富な方がいらっしゃらないので、詳細まで記述できないということもよくあります。そこで、プロジェクトメンバーで、各種規定・マニュアル・システム説明書などを駆使して、一応の流れを作成した上で、現場で業務に当たっていらっしゃる方等に確認していただく形で進めます。, この際、大変重要なことは、「公式」「標準」として行われているべきことだけではなく、「実際に」行われていることを、適切にフローに反映させることです。「適切に」というのは、何でも記載するのではなく、必要と思われることのみを記載していくことです。「必要と思われること」というのは、業務運営のノウハウと考えると良いと思います。こうしたノウハウは、マニュアル等に記載されない非公式な作業に含まれていることが多く、次期システムで、そうしたノウハウを何らかの形で引き継ぐべきことが多いからです。例えば、ミスを防ぐためにしている申し送りをシステム上では入力できないため、付箋で添付して回付するようなことです。「標準ではない」から採用しないではなく、「標準として取り込めていない」と認識し、必要であれば、そのノウハウを標準として漏れなく組み込む必要があります。, そして、いよいよここからが最難関の「ありたい業務」の詳細フローの作成です。ありたいマクロフローと現状の詳細フローをもとに、ありたい詳細フローを作成します。この際は、現状の処理方法ではなく、現状実施している「機能(情報や現物の授受、チェックや承認等)」に着目し、それを新しい業務のあり方では、どのような処理で実現していくかを詳細フローに落とし込みます。, ここでありがちなのは、どうしても現状のシステムをベースに考えてしまうことです。「ここでこんな機能を追加すると、すごく大変(難易度・費用等)だと思う」とか、「現在ある資料・データを使う前提で考えよう」などです。私達は、毎回、「ここでは、印鑑を押さない方法は考えられませんか?」とか、「ここで発生させている紙は、データとして端末上で閲覧してはだめですか?」といったやり取りをずっと行うことになります。最初のうちは、1処理ごとにこのようなやり取りが続くので、詳細フローを作成する担当者は、毎回毎回責められている気がする辛い作業です。しかし、そこはお互い頑張って乗り越えないといけない、最も重要な作業なのです。現状をベースに考えるのは楽なことですが、本来やりたいことを実現するために考え抜く必要があります。ただ、そうは言っても、基本的機能のあるべき姿が見えてくると、その後の作業はずっと楽になります。また、個別業務の流れだけでなく、それらの業務の共通点や、個々の業務を管理する観点での機能の検討も必要です。, こうして、新しい業務の姿が詳細に見えてくると、今度は、これを業務要件としてまとめ、次にシステム要件にまとめます。, 今までにない業務処理方式なので、SEの理解を得るのも難しいことがあります。こうした業務とシステムの架け橋も、われわれコンサルティングの役割だと思っています。, よくありがちなのは、業務イメージが伝わるようにと画面イメージを作成して、画面の流れで説明するという方法です。しかし、これは、伝えたいことをきちんと伝えられない可能性があるばかりか、間違った方向に導いてしまう可能性が高いのでお勧めできません。ただ、考え易いためか、「画面イメージを作ってきました」と仰ることはよくあります。その場合は、これまで検討してきた業務について、その画面の流れの中でどう組み込まれて表現されているのかを確認していただき、うまく表現できていないことを認識・体感していただくようにしています。画面推移で物事を検討すると、どうしても、個別業務単位の検討になり、全体に関わる機能が抜けてしまいがちです。, 業務要件からシステム要件をまとめるにあたっては、これまで見てきた1つの業務ごとの流れ(業務単位)から、それぞれの業務に出てくる機能を横串を刺して見る(プロセス単位)ことが求められます。そこで、例えば、「本人確認」という機能の実現方法は、その業務上の要求レベルからいくつかの方法を考え、各々、「こうした方法で対応したい」というシステム要件をまとめます。, ここでようやくシステムベンダーに費用の見積もりをしてもらいます。各機能の実現方法について、現状のシステム状況から開発工数(実現可能時期)の見積もりや、必要な技術が実用レベルになっているかなど、実現するために必要なハード費用を見積もってもらいます。一方で、銀行側は、事務量などで投資効果を見積もっています。そして、それぞれの結果から、開発優先順位を決めることになります。, こうして、開発優先順位の検討(効果と投資費用を勘案)の結果、当時、実現できなかった機能としては、「書かせない」「押させない」のための生体認証がありました。当時、実現にはハードも含め、コストが大きかったため実現できなかったのですが、一方で、事務量の削減効果に大きく寄与するものであることは明らかでしたので、常に開発案件の上位候補として挙げていました。後に導入コストが下がったところで、スマート店(事務の極小化を目指しATM処理とキャッシュカードでの処理に集約する次世代営業店に続く店舗)の実現へとつなげることができました。, 新しく開発されたシステムは、「連携データベース(DB)」と呼ばれています。連携DBでは、6桁の「お客様番号」を使用します。お客様の処理が、UBT端末(営業店窓口端末)、クイックナビ用ATM、ロビー入金機のいずれかの機器で始まると、お客様番号が自動採番されます。このお客様番号により、お客様に関わる一連の処理が、機器間で連携(情報伝達)して、把握できます。例えば、入金された500万円を元に、出金、振込み、税公金の納付の処理が行われるとすると、入金500万円は「お預り金」として、いわばカルトン(お皿)にあるかのごとく扱われ、出金、振込み、税公金の納付の処理が行われ、最後に、お預り金が0円になって、すべての関連する処理が完結したとして管理されます。お客様番号ごとに管理できるため、連携DBの導入により、勘定違算は生じなくなり、事務の効率化だけではなく、堅確化も実現できるようになりました。, 連携DBが各店に展開される際、クイックナビの外見には全く変化がないため、利用者はシステムが変わったことには気づかないと思いますが、社員の方々は、表面の変化がないにもかかわらず、「お客様番号」の導入をはじめとする新機能への対応のため、度重なる研修で新たな事務処理方法を習得する必要がありました。導入の際も、本部からの支援体制を十分にして実施しました。, 次に開発した拠点(チャネル間)連携DBは、営業店内の各機器だけでなく、センターも対象範囲として連携させていくものです。チャネル間連携DB開発の目的は、営業店における負担感の大きい事務の削減と、それにより、より一層のペーパーレスの実現・現物の移動を伴わない事務処理の実現でした。これについては、次回、センターの再編についてで、もう少し詳しく触れたいと思います。, こうして、営業店事務量の削減またはオペレーションミスの削減に寄与するシステム開発を行ってきました。セールス領域の中にも、事務の負担が大きいということはよくありますが、りそな銀行様においては、すでに相談ブースで、コミュニケーション端末として、社員だけでなく、お客様のご負担も軽減する3ない3レスを実現する新たなシステムを開発導入済みです。今後、求められるものとしては、マネジメント機能を強化・高度化するためのシステムなのではないでしょうか。ローン・融資業務については、回を改めてご紹介しようと思いますが、これも、「マネジメントのありたい姿」を明らかにすることがポイントだと考えています。, 今後のシステム開発には、自分たちの業務のありたい姿を明確にし、それを支えるシステムの開発を行うのだという意識が求められると思います。他社事例で有効であっても、自分たち(の業務のありたい姿)には不要なものに振り回されないように判断する力も必要です。他行事例は、あくまでも参考であり、利用できるところをうまく利用しようという姿勢で臨むことです。そして、ベンダーに依存するのではなく、自行の実態と方向性を踏まえ、自分たちの実現したいことと、ベンダーが提供できることのギャップをしっかり認識し、必要なものをきちんと説明し、提案を受け、その上で、優先順位を決定して開発を推し進める力が非常に重要だと思います。, (*)事務量算定方法の詳細については、以下の論文とサービスカタログをご参照ください。, 【コンサルティング最前線 創刊号 Vol.01 Nov.2008】事務量導入支援コンサルティングご紹介, 「今」を知り、「未来」を描くことから始めませんか? ~営業店改革を成功に導くために~, 【「銀行次世代店舗」のアプローチ】

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